昭和51年(1976年)
あおげばとうとし(1月3日午後6:05〜50放送)
1月3日 赤旗
原作山中亘、脚本馬嶋満、演出伊藤美行。山中亘の青春小説「われら受験特攻隊」のドラマ化。かこくな受験戦争にめげずくじけず敢然と立ち向かうずっこけ4人組中学生の心意気をコミカルに描いたもの。「きみたちは県立高校へなぞ絶対に合格できない」と校長から宿命的宣告を受けた、はみ出し中学生、ヒロシ、トキオ、セツ子、ミツエ。出演は宮田真ほか。
二十四の瞳 第2部(1月5日〜1月14日放送)
1月5日 中日朝刊
卒業式からスタート
好評だった「二十四の瞳」(原作・壷井栄)の第2部を6回シリーズで放送。昨年放送したラストシーンの小学校の修学旅行に引き続き、卒業式からスタート。子供たちの出征、戦争、戦後の同窓会まで、戦争に反対する原作のテーマが最もはっきり描かれる。今週は戦時色が濃くなる社会を背景に、元気に育つ教え子達の姿ほかをつづる。
幼年時代(1月19日〜1月29日放送 28日の国会中継が延びた為、木曜までの放送)
(再放送・8月2日〜8月7日)
1月9日 北国朝刊
室生犀星が大正8年に発表した処女小説で、幼児から13歳ごろまでを扱った自伝的作品のドラマ化。肉親に恵まれない環境の中で、誌心にめざめていく主人公の少年期の成長を描く。
第1週は明治3年の金沢、家の事情で他家へ養子に出された主人公・照道(宮廻夏穂)の家庭環境と、学校のやんちゃ生活ぶりを中心に、実父の死など。
1月9日 北国夕刊・テレビの話題より
義姉とのふれあい描く―主役選びに一苦労「かわいい子はダメ」―
NHKの「少年ドラマシリーズ」で、今日19日から文豪室生犀星の「幼年時代」が6回シリーズで放送される。
原作は、大正8年に発表された犀星の処女小説で、幼年から13歳ころまでの作者のおいたちを元にした自伝的小説。
家庭の事情で、両親から離され、荒っぽい、継母のもとで育てられた主人公照道が、外では粗野で乱暴な反面、結婚に失敗した義姉・テエの前では素直で明るい笑顔を見せる。ドラマでは、この二人の心の交流を中心に、実父の死、実母の行方不明、学校での孤独、信仰心の芽生え、義姉の再婚などが描かれる。
出演は、主人公の照道に宮廻夏穂、義姉・テエに二木てるみ、継母・お初に岩本多代、実父・吉種に仲谷昇、隣の和尚に葉山正一らがふんしている。
制作に当たって、最も苦労したのは、主人公の少年選びだと言う。金沢在住の犀星研究家・新保千代子さんから「犀星はすごい顔をした男でした。あの特殊なおいたちを演じさせるのに、かわいい子では絶対失敗しますよ」との助言を受けた。そして約50人の中から選ばれたのがぱっちりとした目の、利口そうな少年宮廻君。カンのよさとセリフがしっかりしている点が買われて起用したもので、原作を読んで収録に臨んだという芝居熱心な小学5年生である。(写真上は室生犀星作「幼年時代」の宮廻夏穂と二木てるみ、下は室生犀星。
アルプスの少女ハイジ(2月2日〜2月11日放送)
2月2日 読売朝刊
ヨハンナ・スピリの名作を、イギリスBBCが児童向けにテレビドラマ化したもの。主人公ハイジには10歳の少女エマ・ブレイクが扮する。マンモリッツの近くでロケした風景がすばらしい。
アケミの門出(2月16日〜2月25日放送)
2月16日 読売朝刊
児童文学作家早船ちよの同名小説を、放送作家岸宏子が脚色。早船の出身地、岐阜県高山市に近い奥飛騨の山村を舞台に、ダム建設にゆれる村人達の言動の中で、明るくたくましい少女アケミの微妙な心の動きと、人間としての成長を描く。
ママの卒業式(3月2日〜3月27日放送 3月1日国会中継の為、第1週は火・水・木の放送)
2月28日 北国夕刊・テレビの話題より
娘に語りかける―集団疎開、空襲の体験―
NHKの「少年ドラマシリーズ」は1日から手島悠介原作の"二十八年目の卒業式"をテレビドラマ化した「ママの卒業式」が放送される。
これは第二次世界大戦中学童集団疎開、東京大空襲などを経験して育った母親が、その体験を、かつての自分と同じ年頃になった娘に記録文を通して語りかけるという新型式のドラマで、脚色は岩間芳樹、劇画・沼野正子、音楽・熊谷賢一。
ドラマは、現代と30年前が交互に現出して進行する。戦時中の収録の部分では、スタジオは丸坊主、オカッパ姿の子供たちがいっぱいで、あたかも三十数年前に逆戻りしたようだった。ヒロインの娘の朋子を演じる平松里枝子は名古屋市内の小学校の6年生だが初めての主役に、まず「このママの卒業式は、本当に良い番組だと思います」とひとこと言った後、「戦争というものを全然知らなかったので、この番組に出て、戦争中はあんなにみんな苦労したのかと思い、教えられました。ドラマの中でママの親友の絹子さんが疎開から東京に帰って、せっかく母に会えたのも、ほんの少しの間だけで、すぐ空襲で死んでしまって本当にかわいそうだと思いました」と、いかにも現代っ子らしい感想を話している。
このほかママには平井道子、ママの好きな謙太郎に梅野泰靖がふんする。
昭和51年春より少年ドラマシリーズは、月〜木・1回20分の放送に変更となる。
また、3週から5週にわたって放送と
一つの作品の放映が長くなっているのもこの時期の特徴である。
昭和51年春〜52年春 午後6時のNHKの番組表
月 |
00こどもニュース 05少年ドラマシリーズ 25真田十勇士 |
火 |
00こどもニュース 05少年ドラマシリーズ 25真田十勇士 |
水 |
00こどもニュース 05少年ドラマシリーズ 25真田十勇士 |
木 |
00こどもニュース 05少年ドラマシリーズ 25真田十勇士 |
金 |
00こどもニュース 05レンズはさぐる 25真田十勇士 |
土 |
00こどもニュース 05歌はともだち 45NHKガイド |
日 |
00レッツゴーヤング 40ネットワークNHK 45NHKガイド 54N・天気 |
いつわりの微笑み(4月5日〜5月6日放送)
4月5日 読売朝刊
3人の母をめぐって流転する境遇の中で、大人へ成長して行く14歳の少女の姿を描く少女ロマン。原作津村節子。
出演はヒロイン美佐緒に池上季実子、義母に青木和子、実母に原良子、新しい母に八木昌子、義父に久富晴ら
明日への追跡(5月10日〜5月27日放送 再放送 昭和53年3月20日〜25日 1日2回分放送)
5月10日 北国朝刊
光瀬龍の原作を山根優一郎が脚色。12回シリーズ
東京郊外の中学校2年H組を舞台に、鎌倉から転校してきた竹下清治少年(長谷川論)のなぞの行動を、クラスメートの男女二人が追跡するが、さまざまな不思議な事件にぶつかり、ついに、そのなぞは宇宙へと広がって行き意外な結末を迎える。
長くつ下のピッピ―冒険旅行―・―海賊退治―(5月31日〜6月10日放送)
5月24日 北国夕刊・テレビの話題より
長くつ下のピッピ再び登場
力持ちの少女、今度は冒険旅行と海賊退治に
少年少女向けドラマとして昨年放送された「長くつ下のピッピ」の続編が、来週の月曜日(31日)から「NHK少年ドラマシリーズ」に登場する。
原作はスウェーデンの童話作家アストリッド・リンドグレーン女史の代表作。
ピッピは長いくつ下をはき、髪をおさげに結んだ茶目っ気たっぷりな女の子。一人で大きな家に住み、学校にも行かない。世界一の力持ち。大人におかしなところがあれば、遠慮無く言いまくる。それでいて憎めない。このピッピの活躍を描いていくもの。
今回放送されるのは「冒険旅行」「海賊退治」の2シリーズ。
出演は8千人の応募の中から選ばれた少女インゲル・ニルソンのほかペール・スンドベルイ、ハンス・アリフレッドソンら。
地球防衛団(6月14日〜7月1日放送)
6月12日 北国夕刊・テレビの話題より
NHKの少年ドラマシリーズは、14日から、イギリス制作の冒険ドラマ「地球防衛団」をスタートさせる。
ジョン、スチーブ、キャロルなど超能力を持つ少年少女で結成している地球防衛団す―パー・ティーンズは、一見普通人とまったく変わりないが、実は、現代の科学技術をはるかに超えた能力を持つ。。
この超能力を備えた少年少女グループが、危険に見まわれた地球を救う為数々の冒険に身をさらす物語。脚本・ロジャー・プライス、監督・ポール・バーナードほか。1973年作品
出演は映画「ジャッカルの日」のニコラス・ヤング(ジョン)演劇学校出身のサミー・ウィンミル(キャロル)それにピーター・V・クラークら。
ドラマは「地底の怪人」「26世紀の怪物」「秘密結社の陰謀」の3つのエピソードからなっており、各4回シリーズ。
いたずらっ子エミール(7月5日〜7月22日放送)
7月3日 北国夕刊・テレビの話題より
農村舞台に珍騒動
NHKの「少年ドラマシリーズ」は、5日からスウェーデンの農村を舞台にいたずら坊やの珍騒動を描く「いたずらっ子エミール」を放送する。
「長くつ下のピッピ」と同じ、アストリッド・リンドグレーン女史の原作で、12回連続。
1910年代の草深いスウェーデンの小さな村を背景に、天真爛漫なエミール坊やがまき起こす騒動と、そんなエミールに手を焼きながらも、幸福で静かな生活を営む家族やまわりの人々との交流を描いた楽しいドラマ。
主役のエミールには200人余りの候補者から選ばれたヤン・オールソンがふんする。
この「エミール」は、リンドグレーン女史のお孫さんの小さいころをモデルにして南スウェーデンの農場主だった父親から聞いた話を元に書かれたもの。
巣立つ日まで(9月6日〜10月1日放送)
9月2日 北国夕刊・テレビの話題より
"三バカトリオ"の友情
NHKの少年ドラマシリーズは来週6日から人間として何を大切に生きていったらよいかをテーマにした「巣立つ日まで」を16回にわたって放送する。
「巣立つ日まで」は、昨年児童文学者協会新人賞を受賞した菅生浩の受賞作で、石森史郎が脚色。
内容は、昭和34年の郡山を舞台に飲食店の息子でバスケット部員の靖、サラリーマン家庭の音楽部員・正彦、パチンコ屋の長男で美術部員の吉夫ら、中学3年の少年3人、通称"3バカトリオ"が、それぞれの個性をぶつけ合いながら、友情を育て、わんぱくぶりを発揮して行くもの。
音楽・三枝成章、制作・萩原具佳、演出・峰岸透、伊藤美行。
出演者は、主役の川崎公明(靖)、宮田真(吉夫)、坂本香(正彦)の3人のほか、田中由美子(京子)、村田みゆき(幸子)、玉川砂記子(妙子)ら、中・高生。それに大谷朗(谷田川先生)、浜田晃(竜波先生)、中原早苗(靖の母)、津島道子(靖の祖母)ら。
森の秘密(10月6日〜10月21日放送)
10月4日 読売朝刊
森の野鳥を撮った写真から、ある事件に巻き込まれて行く2人の少年の活躍を描く。オランダ放送連盟制作による少年ドラマ。
兎の眼(10月26日〜11月18日放送)
12月25日 北国朝刊
生き生きとした子供たちの日常生活を描いた作品。
嬢ちゃん先生こと小谷芙美先生(金沢碧)は、3年3組の担任である。この組にだんまり鉄三(山田基夫)がいる。鉄三は教室ではかたくなに口を閉じ、しゃべろうともしない。ある日鉄三は、カエルのふんづけ事件で小谷先生を卒倒させた。
怪傑黒頭巾(11月22日〜12月2日放送)
(再放送・翌52年3月27日〜3月31日 6:00〜6:401日2回分放送 3月28日放送予定分は高校野球延期の為中止)
11月15日 北国夕刊・テレビの話題より
来週から名作・傑作シリーズ―トップは怪傑黒頭巾―
NHKの「少年ドラマシリーズ」では、来週22日(月)から昔懐かしい児童文学の名作を集めた"名作・傑作シリーズ"を放送する。
作品は、「怪傑黒頭巾」(原作・高垣眸、脚本・大藪郁子、8回)「風の又三郎」(原作・宮沢賢治、脚本・別役実、4回)「姉妹」(原作・畔柳二美、脚本・服部佳、4回)「安寿と厨子王」−説教節"山椒太夫"より−(脚本・田中澄江、4回)の計4本。
シリーズのトップを飾る「怪傑黒頭巾」は、昭和10年、雑誌「少年倶楽部」に連載された高垣眸氏の傑作。
時は幕末、風雲急を告げるころ、大江戸の町に謎の黒頭巾が出没、悪人をこらしめ、弱い人を助け、風のように現れ、消えて行く。この快男児を人々は怪傑黒頭巾と呼んでいた。
この刀を抜かない正義剣士黒頭巾の波乱万丈の物語。
出演は黒頭巾にふんする坂東八十助のほか、杉田かおる、水野哲、亀石征一郎、伊藤高、井上昭文ら。
風の又三郎(12月6日〜12月9日放送)
12月3日 北国夕刊・テレビの話題より
NHKの「少年ドラマシリーズ」は「怪傑黒頭巾」につづき、6日から9日まで4回にわたり宮沢賢治原作の「風の又三郎」を放送する。
「風の又三郎」は、ある村に一人の少年が転校してくる。村の子供たちは、その少年を風の化身と思い込んで、小さな恐怖心と、親しみを抱く。美しい自然を背景に純粋な子供たちが、現実と空想で作り出す詩情あふれる物語。
この原作は、3つの作品「風の又三郎」「種山ヶ原」「さいかちヶ原」を、原作者が昭和6年から8年頃にわたって構想を練り、苦心してまとめたものだと言われている。脚本・別役実。
出演は、今年はじめに放送された少年ドラマシリーズ「幼年時代」で好演した宮廻夏穂を中心に、若山直樹、熊谷誠之、安藤一人、鎮目仁、すのうち滋之ら。
姉妹(12月13日〜12月16日放送)
12月11日 北国夕刊・テレビの話題より
「怪傑黒頭巾」「風の又三郎」につづき13日からNHKの少年ドラマシリーズで畔柳二美原作の「姉妹」が始まる。
昭和初期の北海道が中心舞台。従来の風習どおり、女は結婚して夫に従い、家を守ることが、もっとも幸せだと考えて生きる姉の圭子と、女としてよりも人間として立派に生きたいと考える進歩的な妹・俊子。この正反対の考えと性格を持った姉妹が大人のさまざまな世界をかいま見ながら、それぞれ成長し、自分にあった道を進んで行く姿を心温かく描く。
脚本は服部佳。出演は三浦リカ、和田麻里、小松方正、幸田弘子ら、放送は4回。
安寿と厨子王(12月20日〜12月23日放送 再放送 翌52年12月26日〜27日6:05〜40 1日2回分放送)
12月20日 読売朝刊
人買いにだまされ母と別れ別れになり、山椒太夫として売られてしまう安寿と厨子王の姉弟の苦難を描くドラマ。説教節"山椒太夫"より脚色・田中澄江。4日連続。
出演は安寿に池上季実子、厨子王に長谷川誠、母八汐に津島恵子がふんするほか、森塚敏、天本英世、織本順吉ら。
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